「広告デザインのアイディアが思い浮かばない」
「アイディアを生み出そうとしても焦って思い浮かばず、さらに焦って…の悪循環になってしまう」
デザイナーなら多くの人が陥るであろう状況です。
それを打破するために、広告デザイン案を生み出すためのコツや対処法をご紹介します。
この記事のポイントまとめ
- デザイン制作の際には商品・キャンペーンのコンセプトを踏まえて、情報の優先順位を決める
- 他のデザイナーが作成した様々なデザインの作品を見てみる
- 行き詰まって自分を追い詰めてもいい作品ができるとは限らない。その時には気分転換をする
デザイン制作の前にすること4つ
何事にも下準備は必要であり、それはデザイン制作においても例外ではありません。
デザイン制作の前にすること4つをご紹介します。
①目的・ターゲットを決める
デザイン制作の際には、ターゲットを決めることが重要です。
あらかじめターゲットの層を予測しないと、デザインの方向性がなかなか定まりません。
効果のあるデザインは、商品やキャンペーン内容、ターゲットの年齢・性別・状況・知識・ライフスタイルなどで異なります。
誰に・何を・どのような目的で・どこでターゲットに伝えるかを整理することはデザイン制作には必須です。
では、例をいくつかご紹介しましょう。
【例1】
誰に:20~30代女性に
何を:新カラーで保湿効果ありのリップ
どのような目的で:キャンペーンでサンプルを先着50名に無料でお届け。感想をSNSなどで拡散して欲しい
どこで知るか:家に届くDMなど
住んでいる場所:都心辺りをイメージ
趣味:おしゃれ・SNSなど
【例2】
誰に:よく出張をする20~40代男性のビジネスマン
何を:リュックサックタイプのビジネスバッグ
どのような目的で:商品を購入してほしい
どこで知るか:電車の広告、インターネット広告など
住んでいる場所:都市近郊をイメージ
趣味:アウトドア・ジム通いなど
②伝えたい情報の優先順位を決める
同じく重要なことは「伝えたい情報の優先順位」です。
まず、ターゲットに一番アピールしたい重要な情報を考えましょう。
それによって文字や写真・イラストの大きさ、配置など、広告のデザインは変わってきます。
アピールしたいものの例
- 商品
- 人
- 価格
- 日時
【例】パン屋のチラシ
① パンをアピールしたいならパンの写真を大きく出す
②安さをアピールしたいのなら値段を目立たせる
③ キャンペーン期間などをアピールしたい場合はスケジュールを大きく出す
③広告のテイストを決める
デザインにも、様々なテイストがありますが、基本的には色が持つイメージに合わせてデザインすることが重要です。
例えば病院のポスターだと、黒を多く使用したものと白を多く使用したものをそれぞれ提示した場合、多くの人が白のものを支持するでしょう。
病院は清潔・安心のイメージを持つ「白」を使用する場合が多く、逆に「黒」だと不気味に感じて不安感をあおる恐れがあるためです。
このように、色のイメージによってデザインの方向性をある程度決められます。
その他にも様々なデザインのテイストがありますので、一部をご紹介します。
【例】
- ナチュラル…白を基調としており、清潔で安心感を与えるイメージを持つ(使用例:病院・結婚式の広告など)
- ガーリー・フェミニン…淡いピンク色を使用して可愛らしいイメージを持つ(使用例:コスメ・化粧品の広告など)
- クール…黒・青系を使用しており、真面目で硬派なイメージを持つ(使用例:ビジネス・企業の広告・男性向け商品広告)
- ポップ…明るく鮮やかな色を多く使用しており、子供らしい・明るいイメージを持つ(使用例:保育園の広告など)
④クライアントとの打ち合わせで意向を汲む
クライアントと打ち合わせをして、提示された商品・キャンペーンに対しての理解を深めましょう。
クライアントの方から「こんな作品にしてほしい」とサンプルのデザインを渡してくれることがあるので、その場合はサンプルに沿ったものを制作する方法。
まったく違うテイストの案を複数示し、先方の好みや方向性を探りながらアイディアを出していく方法など、デザインのアイディアを生み出す方法は、クライアントにもよって様々です。
コミュニケーションをしっかりと取り、多くの人を満足させられるデザインを制作しましょう。
デザイン案が浮かばない場合のコツ4選
次に、デザイン案が浮かばない時にすること・コツをご紹介します。
①街にあるポスター・看板などを見る
街に出て、目についた看板・ポスターなどの広告を参考にしてみるという手法があります。
例えば、駅まで足を運ぶと様々な広告が目に飛び込んでくるのではないでしょうか。
また、駅によってはコンコースの壁面全体を利用した、巨大でインパクトのあるポスターや、動きで目を引きつける映像広告まであります。
駅以外でも、本屋・喫茶店など町のあらゆる場所にポスターや広告があります。
是非参考にしてみて下さい。
②参考になるサイトを見る
デザイン制作に行き詰まった時、スマホやPCで「デザインの参考」などと検索すると上位に表示される「デザインギャラリーのまとめサイト」。
DM・ポスター・パッケージ・バナーなど、様々な種類やテイストの広告が勢揃いしているサイトはデザイナーにとって非常に役立ちます。
参考になるサイトは数多くありますので、その中でも目的に合っているものを探してみましょう。
しかし、サイトに掲載されているものをそのまま使うことは「盗用」となってしまいます。
あくまでも「参考にする」ことを心がけましょう。
③ラフとしていくつか紙に描いてみる
「ラフ」または「ワイヤーフレーム」とは、デザインの設計図のことです。
デザインのアイディアを得るために、手を動かしてみることも一つの手段です。
ラフを描くと、仕上がりのイメージを可視化できる、情報を詰め込む際に整理ができる、新しい発見やデザインの誕生も繋がるなどのメリットや効果があります。
④気になったデザインを日頃から収集する
webサイトやSNSなどの広告のスクリーンショット、自宅に届くDMやチラシなどを集めて、デザイン制作時に参考にすることも一つの手法です。
この場合も「盗用」をしないように注意しましょう。
デザイン制作中で行き詰まっている場合の5つの対処法について
デザイン制作に行き詰まっている時の対処法を5つご紹介します。
是非、参考にしてみて下さい。
①配置の悩みがある場合
配置で悩んだ時には、何を優先するのか再考しましょう。
資料を確認して商品やキャンペーンのコンセプトを思い返し、目立たせるべき情報を選別しましょう。
②配色の悩みがある場合
配色で悩んでいる場合は、以下の対処法があります。
使用写真の色調に合わせる
写真を使用している場合は、それに使われている色に合わせて配色をすると上手く整う場合が多いです。
また、写真自体の色を使うことでトーンなどを調節できて、統一性のとれたデザインになるでしょう。
色を減らしてみる
色を使いすぎてごちゃごちゃし、まとまりのない印象を受けるデザインの場合は、思い切って色を減らしてみましょう。
それでも色が多く乱雑な印象になってしまう場合は、メインカラー、ベースカラー、アクセントカラーを決め直しましょう。
メインカラーは作品のおよそ70%、ベースカラーはおよそ25%、アクセントカラーはおよそ5%に使用する色です。
アクセントカラーは目立ちやすい原色などの使用をおすすめします。
この割合の配色でデザインすると、上手くまとまります。
また原色は、印刷とjpgデータなどとはそれぞれ異なります。
カラーからモノクロにしてみる
デジタルで制作している場合は、一回作品をモノクロにする手法を試してみてください。
カラーからモノクロにしてみると、以下の図のように強調したい・優先すべき箇所が目立っていない、または他の要素が目立っていて効果が薄くなるなどの修正すべき点が見えます。
その場合は、色を濃くしたり、文字の太さ・大きさを変更してみたりましょう。
【例】
③情報の優先順についての悩みがある場合
情報の優先順位で悩んでいる場合は、商品やキャンペーンのコンセプトを一度整理してみましょう。
ターゲットに何を伝えたいのか、どのように行動してほしいのか。
そのことを頭に入れるか入れないかは、作品に大きく影響します。
④モチーフの選び方に迷った場合
デザインのモチーフは、その商品に合うようなものにしましょう。
例えば桜の香水のパッケージデザインを制作する場合は、桜の花の素材を使用することはセオリーといえるでしょう。
またモチーフがなかなか決まらない場合は、流行のデザインを探してみましょう。
⑤気分転換をする
勉強や仕事でも、適度に休憩を取った方が効率は良くなります。
行き詰まって悩んで自分を追い詰めても、良い作品ができるとは限りません。
デザイン制作からいったん離れて気分転換をすることも一つの手法です。
リラックス・またはリフレッシュすることが集中力の回復にも繋がり、デザインのアイディアを生み出せます。
また、時間を置いてから再度自分の作品を確認すると、制作時とは違う印象を抱いて修正をすることもあるので、気分転換は一石二鳥といえるでしょう。
ティータイムで一息つく、外に出る、人と話すなどの気分転換を行って、新たな気持ちで取り組みましょう。
レイアウト例6選
「デザインのレイアウト自体が思い浮かばない!」という方に、レイアウトの例をご紹介します。
インパクト重視のデザインレイアウト例(縦)
インパクト重視のデザインレイアウト例(横)
情報をたくさん掲載するデザインレイアウト例(縦)
情報をたくさん掲載するデザインレイアウト例(横)
まとめ
デザイン制作の際にアイディアが思いつかず、なかなか良いものが作れないことはよくあります。
「伝えるべき情報の優先順位を決める」「他のデザイナーがてがけた作品を見る」「気分転換を行って集中力を回復させる」など、対処法は様々です。
また、自分に合っている手法は実際に試してみないとわからない場合もあります。
自分にぴったりなスタイルを見つけ出し、納得がいく作品を作りましょう。
▽参考
2015年 株式会社エムディエヌコーポレーション出版 筒井 美希『なるほどデザイン』
2016年 株式会社翔泳社出版 平本 久美子『やってはいけないデザイン』