実施に当たっては綿密な計画が必要となる「販売促進」。適切な戦略のもとに行わなければ十分な効果を得られず、なかでも期間設定に伴うスケジュールの把握が重要となります。
この記事では、販売促進計画における「期間」の捉え方、企画立案についての流れについて紹介します。
この記事のポイントまとめ
- 販売促進の成否は入念な計画・企画の立案によるところが大きい
- 販売促進計画・企画の「期間」の捉え方は、営業年度や四半期、季節ごとなどがある
- 販売促進施策のデータを収集し、効果測定・分析による継続的改善が必要
まず、販売促進には2通りの施策がある
販売促進のためにまず必要となる計画・企画。これは消費者にサービスや商品を「ほしい」と思わせ、購買行動に結びつけるためにはどのような手法で取り組むのか決めていくこととも言い換えられます。販売促進の方法にはさまざまなものがありますが、主に以下2つの施策に分けられます。
- オンライン施策
- オフライン施策
最近では、SNSやweb広告などのオンライン施策が増えてきました。しかしDMやポスティングチラシなど、紙媒体を代表とするリアルでの物理的なオフライン施策は依然として有効です。両者のメリットを把握し、自社に合った手法を柔軟に採用しましょう。
販売促進計画では、顧客の購買意欲を喚起させる工夫を
販売促進のためには入念な計画・企画の立案が不可欠となります。
現代の消費者は日常的に多くの情報に触れ、常に取捨選択を繰り返しています。そのため、ただ商品・サービスを開発して広告を出すだけでは十分に顧客へとアピールすることは難しいでしょう。
したがって顧客の購買意欲に訴えかけることが必要になってきます。
的確に商品をアピールするには、ターゲットに合った手法の選定がネックとなります。
ゆえに販売促進の計画段階において、顧客の購買意欲を喚起するための施策を工夫する必要があります。
販売促進を計画的に捉えるための5つの「期間」とは
販売促進計画における「期間」の捉え方は、5つあります。
1.企業での業務を一年間で捉える「営業年度ごと」
2.営業年度を4つに区切る「クォーター(四半期)ごと」
3.一年を4シーズンで区切る「季節ごと」
4.行事やイベントなど月々で区切る「1か月ごと」
5.記念日や祭礼などの節目需要で区切る「イベントカレンダーごと」
自社の商品・サービスに合った販売促進を行うためにはどのように期間を捉えればよいのか、以下で詳しく解説します。
1.企業での業務を一年間で捉える「営業年度ごと」
営業年度とは各企業における業務全体を一年間として区切ったもので、事業年度という場合もあります。
それぞれの決算期にも関わる区分であり、4月~翌年3月に設定することが多いですが決まりはないため、様々なパターンがあります。
まずは自社の営業年度を基準として、販売促進計画・企画を立てていきましょう。一年というスパンで考えていくことで、いつ販売促進を実施していけばいいのかを可視化することができます。
営業年度ごとの捉え方は、中長期的な販売促進計画の見通しを立てるのに適しています。
2.営業年度を4つに区切る「クォーター(四半期)ごと」
クォーター(四半期)とは一つの営業年度を四期に区分した捉え方のことです。
企業ではクォーターごとの目標設定や振り返りを行うことが多く、販促計画においても主に費用や効果の面で区切りとなる期間といえます。
四半期ごとに発行されている販促カレンダーもあり、情報を蓄積していくことで効果測定の際には対前年同期比のデータとして扱えるため、有効な期間区分といえるでしょう。
3.一年を4シーズンで区切る「季節ごと」
クォーターと似ていますが、季節ごとに区切って販売促進計画・企画を作ることもあります。季節によっても消費行動に差が生じるため、シーズンごとの特徴を活かした販売促進を実施することで消費者の目に留まりやすくなるでしょう。
例えば、夏であれば以下のようなキーワードが挙げられます。
- 海開き
- 七夕
- 夏休み
これらのキーワードを活かしながら、いわゆる「かきいれ時」といったハイシーズンの需要を逃さないよう販売促進計画・企画を立案することが重要です。
4.行事やイベントなど月々で区切る「1か月ごと」
年間を通して見てみると、毎月必ず何かしらの行事やイベントが定例的に行われていることが分かります。そのため1か月ごとの販売促進カレンダーを作ることも有効な施策です。
これにより施策の進行が細分化され、いつまでに何をやっておくべきなのかひと目で分かり、月によってターゲティングできる層の違いも明確になります。
5.記念日や祭礼などの節目需要で区切る「イベントカレンダーごと」
節目需要とは、成人式や卒業式、ブライダルなどのライフステージイベント、もしくは記念日や祭礼などの行事に関わる特徴的な需要のことです。
こうした節目需要ごとに「イベントカレンダー」を作成し、それに沿った販売促進計画・企画を立案していきます。
自社の顧客層と定例イベントのタイミングを正確に把握したうえで実施することが肝要です。
販売促進における企画立案の流れ
販売促進における7つの計画立案の流れについて、解説していきます。
1.3つの基礎情報を踏まえて、現状を分析する
2.課題と強みを照らし合わせ、販売機会を洗い出す
3.目的の明確化することで、課題解決につなげる
4.数値目標を設定して、施策効果を客観視する
5.ターゲット像を明確にするために、属性を細分化する
6.ペルソナとセールスポイントをもとに、テーマを設定する
7.効果測定の結果をフィードバックし、販売促進計画を策定する
どのように販売促進計画・企画を立てていくべきか迷っている方は、以下を参考にしてみてください。
1.3つの基礎情報を踏まえて、現状を分析する
まずは自社・自店の現状把握と分析が必要であり、以下の3点が基礎情報となります。
- 商圏市場規模
- 競合と消費者の動向
- 過去施策の成果と振り返り
商圏に対する市場規模のリサーチで、売上や傾向などを把握します。また競合と消費者の動向をチェックすることも大切です。競合のリサーチにより、自社の商品・サービスに足りないものを洗い出すヒントを探ります。
消費者の動向については、現在の商圏でどれだけの消費者が顧客になるかの概算を立てることが重要です。インターネット調査やグループインタビューで調査するのが一般的ですが、過去の施策の成果と振り返りも忘れずに実施しましょう。
2.課題と強みを照らし合わせ、販売機会を洗い出す
次に課題および機会の洗い出しをしていきましょう。現状分析によって課題を洗い出すと
同時に、「自社の強み」についても明確な意識共有を行うことが重要です。この課題と自社の強みを照らし合わせることで、販売の機会がどのようなベクトルにあるのかを洗い出していきます。
3.目的の明確化することで、課題解決につなげる
次に目的の明確化を実施します。目的を定めることで、チームの指標作りができます。目的の例は、以下の3つです。
- 顧客(新規・既存・休眠)への訴求
- 新店・新商品などのプロモーション
- 新商品のお試し
自社の課題に合った目的を設定することで、課題解決に導けます。販売促進はなんのためにおこなうのか、明確にしておきましょう。
4.数値目標を設定して、施策効果を客観視する
上記の目的に対し、目標設定は数値で測れる具体的なものとすることがポイントです。なぜなら目的を設定しただけでは達成度を測定できず、次やまたその次の施策での改善を図れないためです。数値目標の項目には以下のようなものがあります。
- 売上金額
- 申込数
- 市場シェア
- 利益率
例えば、新商品のお試しが販売促進の目的だった場合「◯◯までに、新商品のお試し申し込み数◯個」と設定します。数値化することで、施策の効果を客観的に判断できるようになります。
5.ターゲット像を明確にするために、属性を細分化する
目標が決まったら、具体的なターゲットを設定します。ターゲットの層は属性ごとに細かくセグメントに分けることが有効です。
- 年代別
- 性別
- 家族構成別
- 収入別
例えば上記のように区部してこれらを組み合わせることで、それぞれのセグメントにおけるターゲットの像が明確になります。
6.ペルソナとセールスポイントをもとに、テーマを設定する
次にテーマ設定を実施していきましょう。その場面では、以下2つのことを考えていきます。
- 顧客のペルソナ
- 商品・サービスのセールスポイント
顧客のペルソナとは、サービス・商品を利用するユーザー像のことです。ターゲットと似ていますが、ペルソナの方が年齢や職業、役職、年齢などより具体的に設定されます。
上記5.でセグメントした属性の組み合わせによって想定される顧客のペルソナが何を望んでいるのか、想定される生活スタイルなどから類推を試みます。
そのうえで商品・サービスのセールスポイントを照らし合わせ、ペルソナと合致する部分を可視化することによって販売促進の「テーマ」を設定しましょう。
7.効果測定の結果をフィードバックし、販売促進計画を策定する
最後に販売促進計画の策定に取り掛かりましょう。以下の項目が主な例です。
- 年間行事やイベントの書き込み
- 市場や顧客行動の分析結果
- 集客・売上目標
- 予算
重要なのは過去数値との比較を継続的に行い、効果測定の結果を施策にフィードバックしていくことです。もちろん販促の初年度にはそのデータはありませんが、以降の改善を想定した販促カレンダーでの記録など、情報収集と分析を前提に販促計画を策定することがポイントです。
商品やプロジェクトに合った期間設定で、販売促進活動を計画的に!
商品やサービスをリリースするための準備として欠かせない、販売促進の計画。
その策定には一年間という期間が基本となりますが、その区分には様々なスタイルがあることをご紹介しました。
それぞれの商品やプロジェクトに適した期間設定を選び、最大の効果を発揮しつつ、施策の改善をし続けられる販促計画を工夫しましょう。