「おしゃれな広告デザイン」というものは人によって感じ方が異なります。
しかし、コツを押さえることで多くの人からおしゃれと思われる広告に仕上げることは可能です。
この記事では、デザインする前の下準備とおしゃれに見えるコツを説明します。
ぜひ参考にしてください。
この記事のポイントまとめ
- デザインを作成する前に、目的、ターゲット、伝えたいこと、テイストの4点を決める
- クライアントがいる場合は、クライアントとの認識のずれがないように注意する
- フォントや写真、色などに統一感を持たせるとおしゃれに仕上がる
デザイン制作にあたり押さえておきたい4つのポイント
デザインを制作するときは、下準備が不可欠です。準備をどの程度丁寧にしたかによって、デザインそのものの完成度が大きく変わることがあります。
次の4つのポイントに留意して、下準備を進めていきましょう。
1.「何を伝えるのか」「誰に伝えるのか」を設定する
2.伝えたい情報を整理して、掲載の優先順位を決める
3.「何を伝えるのか」の次に、「どう伝えるのか」を考える
4.クライアントの意向を把握し、打合せで意思疎通を図る
1.「何を伝えるのか」「誰に伝えるのか」を設定する
どんな広告のデザインにも、目的があります。
商品やサービス、イベントなどを宣伝するために描かれるものが多いため、芸術性を重視するのではなく、伝えたいことを伝えられるものに仕上げる必要があるでしょう。
例えば「イベントの集客を行いたい」、「新発売のアイスクリームを認知させたい」、「学校に興味を持ってほしい」など、目的を明らかにしておきます。
目的が明らかになれば、次は広告のターゲット層の絞り込みです。
目的が同じであったとしても、訴求するターゲットによってふさわしいデザインが異なります。
例えば、「イベントの集客を行いたい」という目的について考えてみましょう。
アニメファンたちが集まるイベントであれば、比較的ターゲットとなる人たちも若いことが予想されます。
しかし、国宝展などの芸術系イベントであれば、ターゲット層は中高年になるかもしれません。
どんな人に訴えかける広告なのかを話し合い、適切なターゲットを設定しておきましょう。
2.伝えたい情報を整理して、掲載の優先順位を決める
広告デザインによって伝えられることには限界があります。
特におしゃれに仕上げるためには、ごちゃごちゃした印象を与えないように、伝える内容をある程度絞り込んでおくことが必要でしょう。
目的とターゲット層を決めた後で、広告によって伝えたいことを箇条書きに記載します。
その上で、優先順位を決めていきましょう。
広告のサイズが大きいときには優先順位が低いものも網羅し、サイズが小さなときやインパクトを狙う情報量少なめの広告には、優先順位が上位のものだけを含めます。
また、商品の表札になるキャッチコピーはとても重要なものです。
的確で印象に残るような文章を考える必要があるので、キャッチコピーも優先して考えた方が良いでしょう。
3.「何を伝えるのか」の次に、「どう伝えるのか」を考える
伝えたいことを決めたならば、続いて広告のテイストを決めてください。
テイストは、広告の目的とターゲットを反映したものでなくてはいけません。
シリアスな感じに仕上げるのか、それともユーモアを利かせた感じにするのかなどを決めていきましょう。
ターゲットと目的にマッチしたものもよいですが、あえて外すのもインパクトを高める効果があります。
例えば紅葉シーズンの夜間拝観をアピールする場合、ターゲットを中高年と決めてしまうと、自ずとテイストもシックになってしまうかもしれません。
しかし、あえてポップな広告を作成することで若い層へのアピールとなり、集客効果を高められることもあります。
4.クライアントの意向を把握し、打合せで意思疎通を図る
広告をデザインする上で、クライアントの意向を正確に把握することが不可欠です。
クライアントがどのような目的で広告を作成しようと考えているのか、また予想するターゲットや伝えたいこと、テイストなどを確認しておきましょう。
デザイン案をつくる過程においては、逐一クライアントに見せて了承を得るようにします。
デザインの意図などを注釈で示しておくと、クライアントの希望を反映させていることが伝わりやすくなるでしょう。
デザインをおしゃれに仕上げるためのコツ 8つ
目的とターゲット、伝えたいこと、テイストを決めた後で、いよいよデザインに取り掛かります。
おしゃれに仕上げるために留意したい、以下に示す8つのポイントをぜひ参考にしてください。
- 最初に決めたテイストにふさわしい写真やイラストを使う
- フォントの特性を把握して雰囲気に合ったものを選ぶ
- 写真・イラスト・文字を配置してデザインの基礎を組む
- キーになる色を選んでデザイン全体の印象を決定づける
- 余白を活かしながら見やすいように要素を配置する
- 全体的に統一感があるかどうか要素をチェックする
- 優先順位にしたがって情報が配置されているか確認する
- 素材にトレンド感を取り入れて、時代に合ったデザインに
最初に決めたテイストにふさわしい写真やイラストを使う
下準備の際に設定したテイストを念頭に置き、テイストに合う写真やイラストなどの素材を選びましょう。
おしゃれかどうかは、どの素材を選ぶかでは決まりません。
選んだ素材がテイストと全体的な雰囲気に合っていれば統一感が生まれ、洗練されたおしゃれなデザインに仕上がります。
なお、クライアントの意見とすり合わせる場合は、多めに素材を選んでおくとスムーズにいくでしょう。
いくつかの代替案をすぐに出せるようになり、何度も打ち合わせをする手間を省くことができます。
フォントの特性を把握して雰囲気に合ったものを選ぶ
おしゃれなデザインに仕上げるためには、雰囲気に合うフォントを選ぶことも大切です。
雰囲気に合っていないフォントを選ぶと統一感が失われ、広告全体がまとまりのない印象に仕上がってしまいます。
高級感や伝統を印象付けたいときにはシャープなフォント、ポップさや若さを重視するときは丸みのあるフォントを選びましょう。
また、広告全体を1つのフォントでまとめる必要はありません。
重要なポイントにはゴシック体などインパクトのある太さのフォントを、読み流せる内容には細い線が混じっている明朝体などを選ぶとよいでしょう。
ただし、フォント数を増やすことで統一感が失われる場合は、フォントをそろえて文字の大きさを変えるなどの工夫をします。
写真・イラスト・文字を配置してデザインの基礎を組む
選択した素材やフォントを組み合わせ、デザインを仕上げていきます。
それぞれをどこに配置するとしっくりくるのか、さまざまに組み合わせてみましょう。
どの組み合わせがよいのかをチーム全体で話し合います。
クライアントがいる場合には、クライアントにも組み合わせ案を提示してどれがよいのかを選んでもらいましょう。
同じ配置でも文字の大きさが変わると印象が変わるため、大きさを変えて提示するとよりおしゃれなデザインを選定できます。
キーになる色を選んでデザイン全体の印象を決定づける
素材と文字の配置を決めたならば、色を決定しましょう。
どの色を選ぶかによって広告全体の印象が大きく左右されるため、テイストに合ったもの、よりインパクトのあるもの、洗練された印象になるものをチョイスします。
色を組み合わせる場合、落ち着いた印象に仕上げたいのならば、赤・青などの色の種類と明るさ・鮮やかさに共通感を持たせるようにしましょう。
反対にインパクトを狙うのであれば、明るさや鮮やかさが離れた色の組み合わせを選んだり、似た色味同士の間に対照的な色や黒色などを挟むことで色の差をはっきりさせることもおすすめです。
また、広告を掲載する時期によっては色の選定に配慮する場合があります。
例えば、パステルカラー系は春、夏は明るい原色系…等。
季節イベントの広告作成の際に、ぜひ参考にしてください。
余白を活かしながら見やすいように要素を配置する
ごちゃごちゃとしたデザインをおしゃれに仕上げるのは困難です。
あえてごちゃごちゃと素材を詰め込み、雑多な雰囲気を出すこともできますが、その場合は色を極力使わずにモノトーンで締めるといったテクニックを要するでしょう。
洗練されたおしゃれなデザインを目指すときには、余白を活かすことが重要です。
情報量を極力抑えることですっきりとさせ、長時間見ても見飽きない美しいデザインが完成します。
また情報量が多い場合には、文字を記載する部分を限定することでおしゃれに仕上がるでしょう。
見やすさを意識して文字を広告全体に分散させると、フォーカスポイントが定まらず、情報が頭に入りにくくなることがあります。
全体的に統一感があるかどうか要素をチェックする
おしゃれに仕上がるかどうかは、全体的に統一感があるかどうかで決まるといっても過言ではありません。
素材とフォント、色、配置のすべてに統一感があるかをチェックしてみましょう。
完成した広告を少し離れた位置から眺めてみると、統一感の有無を検証できます。
統一感を生むためには、素材や文字の配置に反復(パターン)が必要です。
デザイン全体にも何かしらのパターンがあるかを確認しておきましょう。
優先順位にしたがって情報が配置されているか確認する
伝えたい情報の優先度にしたがった文字の大きさで、かつ期待するインパクトを与えているかを確認します。
紅葉シーズンの夜間拝観の例であれば、広告を見る側は「いつ開催されているのか」、「何時に入場すればよいのか」、「拝観料はいくらか」といった具体的な数字を知りたいと考えられるでしょう。
知りたい情報がすぐにわかるように、開催日時や拝観料を大きめの文字で記すこと、あるいは目立ちやすい場所に配置すべきです。
おしゃれさを意識するあまり、広告として「わかりやすく情報を伝える」という点がおろそかにならないように注意してください。
素材にトレンド感を取り入れて、時代に合ったデザインに
ライフスタイルなどの流行を、デザインに取り入れることも大事です。
クラシカル一辺倒にならないように、トレンド感のある写真やイラストを組み込んでみましょう。
一気に今の空気感を反映したおしゃれな雰囲気に仕上がります。
また、トレンド感のある素材により、デザインがありきたりにならないという効果も得られます。
ただし、流行の素材や言葉がデザインの統一感を損なうのはNGです。
統一感を持たせたまま、さりげなく流行を忍ばせましょう。
伝えるべき情報をきちんと押さえながら、おしゃれなデザインに仕上げよう!
広告デザインをおしゃれに仕上げる下準備とコツを紹介しました。統一感を重視しつつ、流行やトレンドをスパイス的に組み込んでいきましょう。
ちなみに、おしゃれを意識しすぎるあまり、広告にとって大切な「情報を伝えること」が後回しになってはいけません。
伝えるべき点はしっかりと伝え、なおかつおしゃれで洗練されたデザインを完成させましょう。