よく聞く「A4」ってどんなサイズ?その由来や歴史を解説!

紙のサイズのうち、「A4サイズ」はさまざまな場面で使われています。

書類やコピー用紙などでもお馴染みであり、封筒やクリアファイルもこのサイズのものがよく見られます。

本記事では、A4サイズがどのような大きさを指すのかということに加え、成り立ちなどに関して解説します。また、「A判」と「B判」の違いについても説明しますので、ぜひ参考にしてください。

この記事のポイントまとめ

  • A4サイズの大きさは横210×縦297mm、横と縦は「白銀比(はくぎんひ)」と呼ばれる比率
  • A判はドイツの物理学者であるオズワルドによって提案され、紙の国際規格(ISO216)に規定されている
  • 日本では1993年に厚生労働省から、すべての行政文書の規格をA4とするという指針が出されたことから、一般的に使用されるようになった
  • 明治時代はB判を公文書に適用し、戦後も帳簿類はB判が原則だった。B判は日本独自の規格であり、国際的なB判とはサイズが異なる

はじめに

さまざまな紙のサイズのうち、日本でもっとも多用されているのがA4サイズです。A4サイズで印刷されるものには、各種のチラシやパンフレットなどが挙げられます。

また、学校で配布されるプリントや企業の書類もA4サイズで印刷されることが一般的であるほか、ノートや履歴書、カレンダーなどもA4サイズのものが多いといえるでしょう。

さらにA4が紙のサイズとして一般的であることに加え、A4サイズのバインダーやクリアファイル、レターケースなど文房具類の展開も豊富です。
書類や文房具のサイズに合わせ、ビジネス用の鞄やランドセル、本棚などもA4サイズを意識して作られる傾向にあります。

A4とは

A4サイズの大きさは横210×縦297mmです。横と縦の比率は1:1.414であり、正確には1:√2(ルート2)という「白銀比(はくぎんひ)」と呼ばれる比率です。

白銀比の特徴として、次の2点が挙げられます。

  • 何回分割しても綺麗な長方形になる
  • 日本人が美しいと感じる比率である

このような理由から、国際標準規格ISO、日本工業規格JISP0138にも採用されました。

A判のもっとも大きなサイズは「A0サイズ」で841×1189mm、また「A1サイズ」は594×841mmで新聞の見開き1枚分相当です。A0用紙を4回、半分に切るとA4用紙になります。反対に、A4用紙を2枚並べるとA3用紙に、A3用紙を2枚並べるとA2用紙になると覚えておきましょう。

また、白銀比は「大和比(やまとひ)」と呼ばれることもあるほど、日本人に馴染みが深く、日本人が美しいと感じる比率といわれています。
世界最古の現存する木造建築物である法隆寺の金堂や五重塔に用いられているほか、寺社建築や仏像、絵画などに使われていることが特徴です。

さらに、アンパンマンやドラえもん、キティちゃんなど人気のキャラクターにも白銀比が当てはまります。
そのデザインは顔の縦横比、あるいは体幅と頭身の比率が1:1.414となっているパターンがあり、これらのキャラクターに多くの日本人が親しみを感じる理由の一つといえるかもしれません。

A判にはA0サイズからA10サイズまでのサイズがあります。それぞれのサイズは下記表をご参照ください。

A判(すべての比率は1:√2)
A0サイズ841×1189mm
A1サイズ594×841mm
A2サイズ420×594mm
A3サイズ297×420mm
A4サイズ210×297mm
A5サイズ148×210mm
A6サイズ105×148mm
A7サイズ74×105mm
A8サイズ52×74mm
A9サイズ37×52mm
A10サイズ26×37mm

A判の歴史

ここまで、A4サイズの大きさや日常的に用いられていることについてご説明してきました。ここからは、A4サイズの「A」つまり「A判」の歴史を紐解いていきましょう。

A判とは前述の通り「A列」という寸法を用いるものの総称であり、ドイツの物理学者であるオズワルドによって提案されたサイズ規格です。ドイツの紙のサイズ規格は1934年に国際規格として認められ、戦後にISO(国際標準化機構)に引き継がれ、紙の国際規格(ISO216)に規定されて今日に至っています。

「A0」は面積が1平方メートルで白銀比の「ルート長方形」であり、JIS規格では「A列0番 」と呼びます。同様にA1は「A列1番」、A4は「A列4番」です。

日本では、日本工業規格(JIS)がサイズの規格として1929年(昭和4年)に、AとBの2つを定めました。それまで紙のサイズは規格化されていなかったため、さまざまなサイズの用紙が使われていたといわれています。もともと使われていた美濃和紙に加え、明治以降さらに外国の紙が入ってきたことも背景にあるようです。

当時、書籍には「四六判」(788mm×1091mm)、新聞や雑誌には「菊判」(636mm×939mm)と呼ばれるサイズが多く使われていました。

しかし、それ以外にも数多くのサイズの用紙があったため、不都合さが指摘されるようになり、日本工業規格(JIS)が諸外国で使用されている紙のサイズを調べ、規格化に至りました。A判の規格は日本で馴染みがあった「菊判」のサイズに近かったため、採用されたという説もあります。

なぜA4サイズが一般的なのか?

今では文書の標準的なサイズであるA4ですが、かつて官公庁では日本独自の規格であるB判を用いるのが一般的でした。

しかし国際規格であるA判は民間企業で普及しており、文書サイズの混在が問題となっていました。
そこで1992年に国会で民間企業が公文書を取り扱う際の負担を軽減するために紙のサイズのルールが審議され、翌年に厚生労働省から「各省庁で使用されるすべての行政文書の規格をA4とする」という指針が出されました。

こうして世界標準への転換と統一が進み、1997年には行政文書の100%がA判のサイズになったといわれています。

なお、この指針では地図や写真、許可証などは対象外とされています。そのため、今でも折り畳み地図などはB5判で販売されていることが少なくありません。

A判規格はもともと、国際規格「ISO216」に基づいた世界基準のサイズでしたが、すべての行政文書にこのサイズを適用すると定められたことで、日本でも一般的に使用されるようになりました。

このように、国際的に広く使われているA4サイズですが、アメリカやカナダ、メキシコでは独自の規格である「レターサイズ」が一般的です。
特にアメリカでは、レターサイズが政府用規格として公式採用されています。

コピー機やファックスもレターサイズの用紙がセットされていることがほとんどであるため、ビジネスでやり取りをする際などは注意しましょう。レターサイズは216×279mmであり、A4サイズよりも縦が短く横が長い点が特徴です。

B判は日本独自の規格?

よく使われる紙のサイズとして、A判のほかに「B判」があります。B判は、江戸時代に徳川家と御三家の御用紙であった美濃紙がルーツであり、美濃紙の半分のサイズがB4サイズにあたります。

美濃紙は江戸時代に、幕府御用達かつ専売制度のもとに育成され、さらに町人からの需要が拡大したことで大量生産されました。
特に障子として使用されることが多く、美濃判として障子の規格に採用され、「みの」といえば障子を指すほど普及したといわれています。

前述のとおり、現在、国際化の流れを受けて行政文書のサイズはA4サイズに統一されています。
しかし、明治時代は政府が美濃紙のサイズを公文書に適用し、戦後も日本工業規格(JIS)が帳簿類の寸法はB判を原則とすると定めていました。
日本では障子紙や畳の大きさがB判に近かったこともあり、サイズ感に馴染みがあったようです。そのため、1980年代までは国の文書の9割がB判という状況でした。

もともとB判ができたのは、これまで親しまれてきた菊判のサイズに近いA判を採用したものの、A判だけでは書籍などに用いられてきた四六判に対応できなかったためです。四六判を完全に廃止すると、混乱が起きる可能性があったため、四六判に近いサイズを作れる、B判が誕生しました。

B判はA判の白銀比とされる縦横比を維持したまま、面積を1.5倍にしたサイズです。B0サイズは1030×1456mmで面積は1.5平方メートル、日本工業規格JISに基づいた日本独自のローカルな規格である点に注意しましょう。日本のほか中国や台湾で使われているB判も、このサイズです。

これに対して、国際基準規格「ISO 216 Bシリーズ」に基づくB判はサイズが異なり、B0サイズは1000×1414mmと定められています。日本工業規格JISのB0判が1030×1456mmであるため、若干小さい点が特徴です。ビジネスなどで海外とやり取りをする際は、JISのB判なのか、ISOのB判なのかをあらかじめ確認する必要があるでしょう。

B判もA判と同じように、0から10までのサイズがあります。基本のサイズとなるB0サイズを半分にしたものがB1サイズ、4分の1にしたものがB2サイズで、日常的によく使われるB5サイズはB0サイズの32分の1に当たる大きさです。

ビジネス文書などは国際規格でもあるA判のA4サイズで作成することがおすすめです。しかし、家庭用のプリンターで印刷する場合は、B5サイズのほうがインクの使用量を抑えられます。
B5サイズのノートのほうが使いやすいと感じる方もいるでしょうし、集中して文章を読む必要がある国語の教科書などは、一行が長くならないようにB5サイズで作られることが多いようです。

パンフレットや作品集は、写真やデザインをダイナミックに見せたいときにはA4サイズ、小ぶりなイラストを可愛らしく見せたいときにはB5サイズというように、目的によって使い分けるとよいでしょう。

まとめ:A判とB判の取り違えに注意!

このようにA4サイズの書類が一般的となっている現状ですが、コピー機の用紙トレイを見てもわかるように各種のB判とも併存しています。

近いサイズ感の判型ではどれがどれか分からなくなることもあるため、特に使用頻度の高いA4は「新聞の一面を2回折った大きさ」「短辺が21㎝」「B5より一回り大きい」等々、判別の基準を覚えておくとよいでしょう。


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