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写真や画像の再現性がバツグン! 「グラビア印刷」のメリットや仕組み、用途などを解説

「グラビア印刷」は凹みのある版を使って印刷する「凹版印刷」の一種で、写真の再現性に優れているのが特徴です。

この記事では、グラビア印刷の仕組みやメリット・デメリットを解説します。

この記事のポイントまとめ

  • グラビア印刷は凹みのある版を使って印刷する仕組み
  • 色の濃淡を鮮明に表現でき、写真の再現性に優れている
  • 印刷できる素材の幅が広く、身近な物の印刷にも多用されている

グラビア印刷とは?

グラビア印刷は版の凹み部分に溜めたインクを用いて対象に印刷する手法で、原理的には凸版印刷とは逆となります。

緻密な濃淡の表現に優れており、写真の再現性が高いのが特徴です。グラビア印刷の仕組みや、オフセット印刷との違いについて見ていきましょう。

グラビア印刷の仕組み

グラビア印刷では「シリンダー」と呼ばれる円柱状をした金属製の版を用います。

各刷色に分割されたシリンダーには「セル」という小さな穴が開けられ、この集合で印刷の柄を再現する仕組みとなっています。

セルの大きさと深さによって緻密に印刷濃度を変化させられることがグラビア印刷の強みといえるでしょう。

シリンダーをインクに浸すと印刷不要の部分にまで付着するため、セル以外の平滑面は「ドクターブレード」というヘラ状の部材で余剰インクを掻き落とす構造になっています。

グラビア印刷では「網点」を使わないという説明を目にすることがありますが、それは正確ではありません。
他の印刷物同様にセルを用いた網点の組み合わせ(色の掛け合わせ)によって、さまざまな色や柄を再現します。

グラビア印刷のメリットとデメリット

次にグラビア印刷のメリットとデメリットについて見ていきましょう。

印刷手法の特徴から得意な点と不得手な点があるため、利用にあたってはこれらをよく把握しておくことが肝要です。

グラビア印刷のメリット

グラビア印刷の大きなメリットは、先に述べたように色の濃淡を緻密に再現できることです。

版の凹部の深さやインクの量を調節することで、写真を高精度で再現できます。

複雑な絵柄もきれいに印刷できるため、パスポートや紙幣の偽造防止対策としても用いられています。

また、グラビア印刷で使用する版は金属製であるため耐久性に優れているのが特徴です。したがって大ロットの印刷に向いているほか、重版の際は同じ版を繰り返し使用できます。

なお、グラビア印刷はプラスチックフィルムなどの印刷が難しい素材にも対応しているため、活用の幅が広い点も魅力です。

グラビア印刷のデメリット

グラビア印刷のデメリットとして、版を作るためのコストの高さが挙げられます。

前述の通り金属製の版を用いることから、他の印刷手法に比べて版代がかさむ傾向があります。仮に印刷する枚数が少なければ、1枚あたりの単価が割高になってしまうでしょう。

また、多色を使う場合には仕上がりにズレが生じやすくなる点にも注意が必要です。

さらにデザインの線が細すぎるケースでは位置ずれによって印刷物がかすれてしまうこともあります。

グラビア印刷は写真の印刷に適していますが、デザインによっては他の印刷手法を検討する必要があるでしょう。

グラビア印刷の用途

グラビア印刷は紙だけではなくフィルムやビニールなどの素材に対応できる手法のため、身近な物のプリントに広く使われています。ここでは、その主な用途をいくつかご紹介します。

写真集や美術書

すでに繰り返し述べたように、グラビア印刷は写真を美しく印刷できるため写真集や美術書の印刷に適しています。

濃淡やグラデーションの表現と再現性に優れたグラビア印刷の、もっとも得意とするところといって過言ではないでしょう。

フィルムやビニールへ印刷する食品包装用フィルム

グラビア印刷はさまざまな素材に印刷できるため、食品包装用フィルムやビニールの印刷にも用いられます。

例えば、袋入りインスタント麺のパッケージやお菓子の包装、ペットボトルラベルなどはグラビア印刷の代表例です。

まとめ

一般に「グラビア」というと雑誌等での写真ページのことを指すイメージが強いかもしれません。

これはかつてこうした部分をグラビア印刷によって刷ったことから、そう呼ばれるようになったものです。

現在では写真ページにもオフセット印刷が用いられるようになりましたが、代名詞としてのグラビアは深く浸透した言葉の一つといえるでしょう。

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