色とりどりの紙

印刷における「色見本」とは? 見本帳の使い方とチェックする際の注意ポイント

「色見本」または「カラーチャート」とは、印刷物の色を的確に指定するために用いられるツールのことです。

さまざまな色の一覧表である「色見本帳」の番号を指定することで、希望に沿った印刷色の選択が可能となります。

この記事ではそんな色見本の概要や使い方、注意点などを解説します。

この記事のポイントまとめ

  • 色見本とは、印刷色を指定する際に用いるツールのこと
  • 色見本帳の「色番号」を伝えることで、印刷物の色を細かく指定できる
  • 色見本帳を見る際は色の面積効果や環境による影響に注意する

色見本(カラーチャート)とは?

色見本(カラーチャート)とは、その名の通りさまざまな印刷色の見本を一覧にしたものです。

例えば一口に「赤」といってもそれには幅広いバリエーションがあるため、希望通りの色に仕上げるには色見本で指定する必要があります。

ここでは、色見本として使用される色見本帳や色番号について解説します。

色見本帳とは?

色見本帳とは、その名の通り色のバリエーションを一覧にしたものです。

印刷物の色はプロセスカラーのCMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)が基本となりますが、これを補完するために用いるのが「特色(とくしょく)」です。

特色とはCMYKで再現するのが難しい金・銀・蛍光色・パステルカラー、あるいはカスタマイズされた特定の色を指す言葉です。

色見本帳はこれら特色やCMYKの掛け合わせ色を指定する際に用いられるツールで、国内外さまざまなメーカーから販売されています。

色見本帳の「色番号」とは?

「色番号(色票番号)」とは読んで字のごとく、色見本帳の各特色に割り当てられた番号のことです。アルファベットや数字で表されるもので、色見本帳を販売するメーカーごとに固有の番号があります。

この色番号を伝えることで、印刷物の色を細かく指定できます。

色見本の使い方

印刷を外注する際は、色見本を使って出力したい色を的確に伝えましょう。色見本の基本的な使い方は、以下の4ステップです。

  • 色見本帳を選ぶ
  • 色見本帳でカラーチップの色を見ながら探す
  • カラーチップを添付して色を指定する
  • 印刷後にカラーチップと見比べて色の仕上がりを確認する

1.色見本帳を選ぶ

一口に色見本帳といってもいくつかの企業や団体が発行しているため、まずはどれを使用するか選ぶことが必要です。

大まかな傾向ではありますが海外ではアメリカのPANTONE社による「PANTONE(パントン)」、日本国内ではDIC株式会社の「DIC(ディック)」が多く用いられています。

2.色見本帳でカラーチップの色を見ながら探す

色見本帳をもとに、カラーチップの色を見ながら使いたい色を探します。

カラーチップとは色番号が印刷されたチップのことで、カラーチップをミシン目で切り取ることのできる「切り取り式」の見本帳もあります。

3.カラーチップを添付して色を指定する

印刷物に使う色が決まったら入稿データにカラーチップを添付、あるいは色見本帳の色番号を伝えて色を指定しましょう。

どの色見本帳に掲載されているどんな色かを共有することが重要です。

4.印刷後にカラーチップと見比べて色の仕上がりを確認する

印刷会社にデータを入稿すると、カラーチップをもとに出力した試し刷りが届き、色校正の段階に移ります。

試し刷りとカラーチップを見比べて色の仕上がりを確認しましょう。

色見本をチェックする際の注意ポイント2つ

色見本をチェックする際は、注意すべきポイントが2つあります。

1.サンプル色の「面積効果」に注意する
2.色見本帳のサンプル色を「見る環境」に注意する

色見本を正しく使いこなせるように、注意点をきちんと理解しておきましょう。

1.サンプル色の「面積効果」に注意する

色見本帳から色を選ぶ際は、サンプル色の「面積効果」に注意が必要です。

色の面積効果とは、占める面積によって色合いの感じ方が変わってくることです。たとえば、明るい色は面積が大きいほど鮮やかに見えるのに対し、暗い色は面積が大きいほど沈んだ色味に見える傾向があります。

色見本帳ではベストな色に見えていても、印刷した際に色の面積が大きくなることにより、イメージと違った仕上がりになるケースは少なくありません。

色には面積による印象の変化があることを理解し、デザインにおいてもこれを念頭に入れることが重要です。

2.色見本帳のサンプル色を「見る環境」に注意する

色見本帳を使う際は、サンプル色を見る環境にも気を配りましょう。

室内の照明の下か、屋外の太陽光の下かによっても色の見え方は異なります。また、照明の色合いも色の見え方に影響を及ぼします。

色見本帳の色を正しくチェックするためには、なるべくさまざまな環境でサンプル色を見比べるのが賢明です。

まとめ

色の総数は日常生活で認識できるものだけでも187万5,000色、条件が整えば750万色にもおよぶといいます。

この膨大な量の色からイメージ通りのものを感覚だけで選ぶのは、至難の業といえるでしょう。

個人によっても色合いの捉え方が異なるため、印刷やデザインにおいてそうした齟齬を避けるためにも色見本は重要なアイテムとなります。

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