バリアブル印刷とは、1枚ごとに異なる内容を印刷できる技術のことです。文字や画像などのデータをカスタマイズできるのが特徴で、DMや名刺など身近な印刷物に用いられています。
バリアブル印刷を活用すると、顧客志向のマーケティングや施策の効果測定が可能です。
今回は、販売促進にメリットをもたらすバリアブル印刷について解説します。
この記事のポイントまとめ
- バリアブル印刷とは、1枚ごとに内容をカスタマイズできる印刷技術のこと
- 身近な活用例は、DMや名刺、シリアルナンバー付き応募券など
- バリアブル印刷を活用すると、顧客のニーズに合わせた印刷物を作成できる
- 個別QRコードなどを用いることで施策の効果測定も可能
(※QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です。)
「バリアブル印刷」って、何?
バリアブル印刷(Variable Data Printing)とは、1枚ごとに印刷する内容を変える技術を用いた印刷方法のことで、「Variable」は「可変的な」「変動できる」といった意味で可変印刷とも呼ばれます。
バリアブル印刷の代表例として、Microsoft OfficeのWordとExcelを使った差し込み印刷が挙げられます。
差し込み印刷とは、あらかじめWordで表示範囲を設定し、Excelのデータを読み込ませる機能です。
バリアブル印刷を同一品の大量生産に適したオフセット印刷機で行うのは困難で非現実的ですが、オンデマンド印刷機(デジタル印刷機)であれば自由なカスタマイズが可能です。
バリアブル印刷を活用すると、簡単に宛名を印刷できたり、顧客のニーズに合わせて情報を組み合わせたりすることが可能です。
バリアブル印刷の具体的な活用例について、次項から詳しくご紹介します。
実はこれも「バリアブル印刷」! 身近な4つの例
身近なバリアブル印刷の例として、主に以下の4つが挙げられます。
1.名前や部署、画像をカスタマイズできる「顔写真入り名刺」
2.1枚ずつシリアルナンバーを印刷できる「くじ」
3.バーコードで情報管理が効率化できる「チケット」
4. QRコードで施策の効果測定ができる「シリアルナンバー付き応募券」
バリアブル印刷を用いて印刷物を作成すると、カスタマイズした情報を特定の相手に届けられるのはもちろん、受け取った人の購買行動などをモニターする仕組みを設けることで販売促進の効果測定をおこなうこともできます。
販売促進や広報のヒントとして、バリアブル印刷の身近な例とその効果を解説します。
1.名前や部署、画像をカスタマイズできる「顔写真入り名刺」
バリアブル印刷の活用例として、顔写真入りの名刺が挙げられます。
文字のデータだけではなく画像データも可変情報として印刷できるため、名前や所属部署、顔写真などを社員ごとにカスタマイズできます。
名前と一緒に顔写真を印刷すると、名刺を受け取った相手に大きなインパクトを与えられ、記憶に残りやすくなるでしょう。
2.1枚ずつシリアルナンバーを印刷できる「くじ」
くじを印刷する際にもバリアブル印刷が活用されています。
バリアブル印刷を用いると、当たり・はずれの組み合わせはもちろん、当たりくじにシリアルナンバーを印刷することもできます。
例えば、1枚ずつに異なるナンバーを入れたくじ付きチラシを配布すると、チラシに付加価値が生まれます。
くじを使った抽選イベントを店頭で開催すれば、来客の促進が期待できます。
3.バーコードで情報管理が効率化できる「チケット」
バリアブル印刷をチケットの印刷に活用する方法もあります。
例えば、来場特典などの抽選券としてイベントチケットにシリアルナンバーを印刷すると、来場者に大切に扱ってもらえるため、チケットの紛失リスクを減らせるでしょう。
また、チケットに管理用のバーコードも印刷しておくと、来場者の情報管理の効率化にもつながります。
4. QRコードで施策の効果測定ができる「シリアルナンバー付き応募券」
バリアブル印刷の活用事例として、シリアルナンバー付きの応募券も挙げられます。
応募券にシリアルナンバーを付ける場合、従来は製品ごとにシールを貼るなどの手間が必要でした。
その点、バリアブル印刷は印刷物ごとに内容を変えられるため、1枚ごとに異なるシリアルナンバー付きの応募券を作成できます。
また、シリアルナンバー以外に個別のQRコードを印刷することも可能です。
個別のQRコードを印刷するメリットは、施策の効果測定ができることです。個別のQRコードから専用のWebサイトに誘導することで、顧客の行動を追跡できます。
このことにより発送した販促物の効果を数値化できるため、今後の施策改善に向けたデータ収集が可能となります。
個別のQRコードによって測定できる項目には以下の例が挙げられます。
- QRコードからのアクセスの有無
- 応募券使用によるサイトや店舗への到達率
- 設定した成果へのコンバージョン率
(※QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です。)
DMは、バリアブル印刷の特性を活かせるツール
バリアブル印刷は宛名を1枚ずつ変えられるため、顧客にDMを送付する際にその真価を発揮します。
スタンダードな活用例は、同じ内容のDMを大量印刷したあと、宛名のみにバリアブル印刷を用いる方法です。
さらにメッセージ部分にもバリアブル印刷を用いると、より顧客志向のマーケティングが可能となります。例えば、挨拶文に顧客の名前を入れるのも一つの方法です。
挨拶文は「お客様へ」から始まるのが基本ですが、「〇〇様へ」と顧客の名前に差し替えると、顧客の目に留まりやすくなるでしょう。
エリアを限定したマーケティングを行うなら、「〇〇県にお住まいの方へ」と入れるのもおすすめです。挨拶文に地域名を加えることで、顧客に当事者意識をもってもらいやすくなります。
または、はがきを使って注文してもらう際は、申し込み欄に顧客の情報を部分的に印刷しておくのも有効です。
顧客にとっては住所の一部や氏名などを記入する手間が省けるため、注文率のアップが期待できます。
過去の購買データなどにもとづき、顧客ごとにメッセージの内容をカスタマイズすれば、購買意欲やコンバージョン率の向上にもつながるでしょう。
このように顧客のニーズや趣味嗜好にピンポイントで訴求できるのが、パーソナライズDMの強みです。
パーソナライズDMに関しては、以下の記事で詳しく解説しています。バリアブル印刷とあわせて、パーソナライズDMの仕組みや効果も理解しておきましょう。
バリアブル印刷をうまく活用して、顧客のニーズにマッチした販売促進を!
これまでのことをおさらいすると、バリアブル印刷とは、印刷する内容を1枚ごとに変えられる印刷技術のことを指しています。
可変印刷とも呼ばれ、文字だけではなく画像などのデータも可変情報として自由にカスタマイズできるのが特徴です。
DMやシリアルナンバー付き応募券など、バリアブル印刷の活用方法は多岐にわたります。顧客のニーズに合わせて内容を組み合わせられるため、販売促進の効果がさらに高まるでしょう。
販売促進の施策を考える際は、バリアブル印刷の活用を検討してみてください。