「色校正」とは実際の印刷の仕上がりを確認し、表現したいイメージの再現性をチェックすることです。本記事では色校正が必要である理由と、3種類の実施方法についても解説します。
この記事のポイントまとめ
- 色校正とは実際の印刷の仕上がりを確認し、表現したいイメージどおりかどうかをチェックすること
- 色校正が必要な理由は、モニターで見る色味と印刷した色味が違うため
- 色校正の種類は、本機色校正・本紙色校正・簡易色校正の3つ
色校正とは?
そもそも印刷物は、厳密な意味では元のデータと完全に同じ色にすることは非常に困難です。
インクの発色や印刷の構造的な問題から再現性には一長一短があり、仕上がりの調整が必要となります。
色校正とはこうした完成品のイメージと、現物としての印刷物の色味などを近づけるために行うチェック作業の一つです。
色校正が必要な理由3つ
色校正が必要な理由は、大きく以下の3つが挙げられます。
1.モニターで見る色味と印刷した色味は違うため
2.イメージとの差異による刷り直しを防ぐため
3.色の認識をすり合わせるため
以下、それぞれチェックしていきましょう。
1.モニターで見る色味と印刷した色味は違うため
パソコンのモニターで見る印刷元データの色と、実際に印刷したときの色味とは変わってしまいます。
その色を見ている環境や照明の明るさ、そしてディスプレイと印刷物では色再現の方法が根本的に違うことなどにより、色のイメージが異なるためです。
モニター画面で選んだ色と印刷物が同じとは限らないため、印刷後のチェックが必要です。
2.イメージとの差異による刷り直しを防ぐため
上記の通り、画面上やサンプルとして目にする色は現物としての印刷物とは異なってきます。
こうしたイメージの差異によって色を調整する必要が出た場合には、刷り直しが必要となるケースも発生します。
刷り直しには費用がかさみ、納期が圧迫されるというデメリットがあるため、このような事態を防ぐためにも色校正を行っています。
3.色の認識をすり合わせるため
色のイメージは見る人によって異なるものです。感覚や記憶によっても左右されるため、見る人の感性や経験、環境でイメージする色と実際の色の認識が変わります。
トーンが少し落ちるだけでも印刷物の印象が大きく異なってしまうため、発注側と制作側が相互にその感覚をすり合わせ、意図に沿ったイメージを再現できるように色校正を行います。
色校正の種類3つ
色校正の種類は、「本機色校正」「本紙色校正」「簡易色校正」の3つです。
それぞれの概要を見ていきましょう。
1.本機色校正
印刷機・用紙・インクを実際に使用するもので試し刷りすることです。
本番環境と同じ状態の印刷であるため、現物そのものを確認できるイメージです。ただし、その分コストは3つの種類のなかで最も高額となります。
2.本紙色校正
実際に使う印刷用紙を使用して試し刷りしたものです。印刷機械は本紙校正専用のものを使用します。
本機色校正には及ばないものの、実際の仕上がりに近いものが印刷可能です。本紙色校正でも、紙代をメインにやや高めの費用がかかります。
3.簡易色校正
本番環境とは異なる、テスト用の印刷機械や用紙、インクを使用して試し刷りしたものです。
業務用のカラープリンターなどを用い、参考イメージとして提示するのが一般的です。
本機色校正や本紙色校正と比較するとコストが低く納期も短くできるものの、色の再現性は正確ではありません。
まとめ
印刷における色の再現は機器によるものだけではなく、インクの状態や湿度・温度にまで影響される繊細なものです。
これまで見てきたようにPCの画面上とも異なるため、実際に印刷するとどうなるのかというイメージ確認として色校正は重要な役割を担っています。