「校正」とは書籍やメディアなどの制作段階で、原稿と比較しながら文字の間違いや不備を修正する作業のことです。
本記事では「校閲」との違いや印刷前のチェックポイント、校正の不備によって想定されるトラブルについてご紹介します。
この記事のポイントまとめ
- 校正とは、文字の間違いを正して原稿の完成度を高めること
- 印刷前に校正する際のチェックポイント例は、数字・誤字や誤変換・表記ゆれなど
- 校正漏れの不備によって刷り直しなどのトラブルが起きる
校正とは
印刷や広告などの制作物は原稿段階での完成度が100%であることは稀で、なおかつ作業が進行していく過程で文字の抜けや誤った情報の挿入等々、予期せぬエラーが発生することもあります。
こうした不備があると品質事故となるため、制作の途中やリリース前に行うチェック作業の一つが校正です。
これは複数回にわたって実施することも珍しくありません。
なお、計器類の数値や狂いを正す作業も校正と呼びますが、本記事ではメディアにおけるものについて取り上げています。
校正でチェックすべき項目は多岐にわたるため一概にはいえませんが、文字や数値が原稿データ通りか・誤字脱字やスペルミスがないか・固有名詞は正しいか・表記が統一されているかなどを確認していきます。
また、文章の構成や内容の矛盾点までチェックするケースもあります。
校正には文字単位で原稿と照合する「突き合わせ」や、制作途中で修正指示が正しく反映されているかを確認する「赤字照合」などの作業があります。
これらは「読む」というよりも、1つ前の工程と現段階とを比べることがメインです。
校正と校閲の違い
校正とよく似た言葉に「校閲」というものがあります。
これは記載内容が事実に即しているかどうか資料を確認したり、引用や表現が適切かをチェックしたりする作業のことです。
校閲には大きく分けて誤字脱字や表現の矛盾などを探す「素読み」と「事実確認」の作業があり、いわゆる「ファクトチェック」もこれに含まれます。
校正は主に文字の間違いを正すのに対し、校閲は主に文章の内容が事実であるかどうかを精査する作業とも言い換えられるでしょう。
印刷前の代表的な校正ポイント3つ
印刷前に校正する際のチェックポイントは、大きく分けると以下の3つです。
- 数字
- 誤字や誤変換
- 表記ゆれ
それぞれチェックしていきましょう。
1.数字
数字に間違いがないかどうかは、重要な校正項目の一つです。
元データとの照合が必要となりますが、原稿そのものが間違っているケースもあるため数値の検算を求められる場合もあります。
数字は金額やスペックなど、重要な情報に関わることが多いため、厳重なチェックが必要となります。
2.誤字や誤変換
誤字や誤変換がないかどうかも校正作業でカバーすべきポイントです。
現状ではテキストの多くが手作業によって入力されているため、こうしたヒューマンエラーは必ず発生すると想定するのがセオリーです。
これも原稿から間違っている場合もあり、後述する「校閲」における指摘範囲も校正に含まれるケースがあります。
3.表記ゆれ
「表記ゆれ」とは同じ語句が異なる漢字や送り仮名で表記され、不統一状態になっていることを指します。
例外もありますが基本的には同じ文章のなかではどちらかに統一するように作業し、専用の「表記統一表」などを用いるのも一般的です。
校正不備によって起きる代表的なトラブル2例
校正の不備はすなわち不正確な情報が製品・商品になってしまうことを指すため、重大な品質事故につながるケースもあります。
この点について代表的な2つのトラブルを解説します。
1.印刷物の刷り直しが必要となるトラブル
誤字や脱字、不正確な情報などが正されないまま製品になると、印刷物の刷り直しが必要となる可能性があります。
これはその印刷物を必要とする主体にとって不利益となるため、例えばチラシやパッケージなどでの校正不備は制作側の重大な責任といえるでしょう。
刷り直しの費用は印刷する方の負担となるケースが多く、利益を圧迫するおそれがあることに注意が必要です。
2.誤字脱字による金銭的な損害が発生するトラブル
誤字脱字によって金銭的な損害が発生する代表的なケースとして、価格表示の不備があります。
金額そのものの間違いはもちろん、0が並ぶ数値で一桁少なかった、あるいは多かったという実例は枚挙に暇がありません。
たとえば1,000円で売り出すはずの商品が、チラシでは100円と表記されているといったパターンが挙げられます。
こうした品質事故では具体的な損害となる可能性が高く、制作側がこれを補填するという責任問題にも発展しかねません。
まとめ
端的にいうと制作物における文字等の不備を正し、品質事故を未然に防ぐために行うのが校正という作業です。
上記の例で見たように重大な損害につながりかねない事柄も含まれるため、ルールに従って各工程で繰り返し入念に実施することが必要となります。