「RGB」とは、ディスプレイなどの画面に用いられる「光」を利用した発色方式のことです。
印刷に使われるCMYKとは色の領域が異なるため、RGBのまま印刷するとくすんだ色味になることがあります。
イメージ通りの印刷物を作るために、RGBの仕組みやCMYKへの変換方法などを理解しておきましょう。
この記事のポイントまとめ
- RGBは光の三原色、CMYKは色料(しきりょう)の三原色のこと
- RGBデータをそのまま印刷すると、色味がくすむことがある
- イメージ通りの仕上がりにするためには、RGBをCMYKに変換してから印刷する
RGBとは?
RGBは主にテレビやコンピュータの画面に用いられ、さまざまなカラーの再現を可能としています。
以下、RGBの意味や発色の仕組みを詳しく見ていきましょう。
RGBは光の三原色
RGBという名称は、光の三原色である以下の3つの頭文字に由来します。
- Red(レッド)
- Green(グリーン)
- Blue(ブルー)
テレビやコンピュータ、スマートフォンやタブレットなどの映像表示にはRGBが用いられており、理論上は1,677万7,216通りの色の表現が可能です。
なお、光の三原色は混ぜれば混ぜるほど色味が明るくなり、最終的には白に近づくことから「加法混色/加法混合」とも呼ばれます。
RGBで色を表示させる仕組み
RGBは、赤・緑・青各色の光の量を変化させて色を表現する仕組みです。たとえば黄色を表現する場合は、緑と赤の光を混ぜ合わせて反射させます。
色料(絵の具やインクなどの着色剤)であれば、緑と赤を混色すると黒に近い暗い色となりますが、この点が「光」と「色料」における「三原色」の仕組みの違いです。
RGBとCMYKの違いとは?
CMYKは、色料の三原色と呼ばれる以下の3つと「Key plate(ブラック)」で構成されます。
- Cyan(シアン)
- Magenta(マゼンタ)
- Yellow(イエロー)
RGBがディスプレイなどの画面上で用いられるのに対し、CMYKは紙などの印刷物で使われる発色方式です。
色料の三原色は混ぜれば混ぜるほど暗くなることから、「減法混色/減法混合」とも呼ばれます。
CMYKで印刷する際は、4色のインクの割合を調整して色を表現します。
計算上は色の幅が広いですが、印刷では細かな色味の違いは認識しにくいため、表現可能な色数はRGBよりも少ないといえるでしょう。
また、印刷機や用紙の違いなどの条件により、CMYKで同じ色を指定しても実際の見え方は異なります。
イメージ通りの仕上がりにするためには、印刷前に色校正で色の調子などを確認することが重要です。
RGBで印刷するとどうなる?
RGBとCMYKには表現できる色の領域(=カラースペース)があり、RGBのほうがより広い領域をもっています。そのため、RGBで作成したデータにCMYKの範囲外の領域が含まれている場合は、印刷物の色味がくすむ原因となります。
印刷物の色味を忠実に再現したいのであれば、あらかじめCMYKでデータを作成するか、RGBで作成したデータをCMYKに変換することが必要となります。
RGBからCMYKへと変換する際に気をつけたいポイント2つ
RGBのデータをCMYKに変換して印刷する際は、以下の2点に注意が必要です。
1.CMYKに変換後はRGBに戻しても元の色にはならない
2.RGBからCMYKへ変換する際には色のくすみをなるべく抑える
1.CMYKに変換後はRGBに戻しても元の色にはならない
一度CMYKに変換したデータをRGBに再変換しても、元の鮮やかな色味は再現できません。
元の色に戻せるように、バックアップをとってから変換するのがセオリーです。
また、完成したデータをすぐに変換するのではなく、プレビューで変換後の色をチェックしておくことも大切です。
2.RGBからCMYKへ変換する際には色のくすみをなるべく抑える
発色方式を変換すると、どうしても色のくすみは避けられません。
なるべくくすみを抑えてプリントしたい場合は、OSやアプリに備えられた機能で色味を補正するとよいでしょう。
まとめ
カラー再現の仕組みについては、図画や美術の授業で絵の具を混ぜ合わせた経験からイメージできる部分が大きいのではないでしょうか。
しかし「光の三原色」はその構造が異なるため、RGBを混ぜて再現できる色はなかなか分かりづらいかもしれません。
これまで見てきたように基本的にはPC等の画面上ではすべてRGBで発色しているため、CMYKを基本としてカラーを再現する実際の印刷物とのギャップが生じないよう、その違いを認識しておきましょう。