「寒色(かんしょく)」とは青や緑、紫など冷たさを連想させる色の系統を指す言葉です。
色づかいとしてはクールで誠実な印象を与え、気持ちを落ち着かせる効果があるとされています。
本記事ではそんな寒色の種類や印象、活用方法について見ていきましょう。
この記事のポイントまとめ
- 寒色とは冷たさを連想させる色のこと
- 寒色の反対は暖色で、あたたかさを連想させる色を指す
- 寒色には冷静な印象を与えたり、気持ちを落ち着かせたりする効果がある
「寒色」とは? 「暖色」とはどう違う?
寒色とは色相環(しきそうかん)の青緑・青・青紫といった系統の、冷たさを感じさせる色のことです。
大まかに「ブルー系」や「クール系」といった印象で表現する場合もあります。
色相環とはさまざまな色を円形に並べたものでいくつかの種類があり、色を体系化して視覚的に示した図のことです。
【色相環のイメージ】
一方、暖色(だんしょく)とは赤・橙・黄色系統のあたたかさを感じさせる色を指します。
寒色が与える印象や効果
寒色はクールな印象を与える色のため、この系統の色でまとめられた空間に入ると清涼感のある雰囲気を感じることがあります。
実際に寒色系のインテリアで統一された部屋に入るなど、視覚情報のみでも寒色によって温度が冷たく感じるという実験結果もあります。
また、寒色は静かで安全なイメージや抑制的な心象を受けるとされ、気持ちが落ち着く効果も報告されています。
【参考文献】
「色彩の心理的効果」『照明学会誌 46 (9)』 大山 正 一般社団法人 照明学会 1962
「色彩の知覚とその心理効果」『可視化情報学会誌 17巻64号』大山 正 社団法人 可視化情報学会 1997
寒色を活用するとどんな心理効果がある?
色にはそれぞれにイメージや、使うことでもたらされる心理的効果があります。
以下に寒色のうち、青・緑・紫の活用方法について見ていきましょう。
緑や紫は「中性色」と表現される場合もありますが、本記事では広義の寒色として分類しています。
青の活用方法
青には、知的さや信頼、落ち着きといったイメージがあります。
そのため、企業のロゴなどの色としても用いられるケースをよく目にします。海や空といった自然の色でもあるので、爽快感を演出するときにも活用できます。
一方、寂しさや悲しさなどの抑圧的な印象があるのも特徴です。例えば、悲しみを表現するときなどに青色が使われることもあります。
緑の活用方法
緑には安らぎや穏やかさといった印象があります。
また、森や草木をイメージさせるため、ナチュラルで健康的な様子を表現したいときの活用例が多いでしょう。
例えば、自然派化粧品や健康食品などのパッケージデザインなどが挙げられます。
紫の活用方法
紫には上品で神秘的なイメージがあります。
例えば日本の伝統色でも、贈答品を包む袱紗や風呂敷などに多く用いられています。
なお余談ながら、7世紀初めに制定された日本初の人材等級制度「冠位十二階」では、最高位である「大徳」の冠に濃紫が使われました。
まとめ
「知的」「クール」「静謐」といった印象のある寒色系統のカラー。
とても落ち着いた色合いですが、選択肢によっては寂しさや地味さといったややネガティブな雰囲気が出てしまうこともあります。
寒色の特性を把握し、上手にデザインや制作物に取り入れましょう。