「謹啓」の正しい使い方とは?似ている「謹呈」「敬上」の意味も解説

手紙の書き方

謹啓とは、ビジネス文書や手紙の書き出しで用いられる頭語です。読み方やニュアンスが似ている他の言葉には謹呈や敬上がありますが、それぞれ意味が異なります。3つの言葉を使い分けられるように、謹啓・謹呈・敬上の意味や使い方を整理しておきましょう。

この記事のポイントまとめ

  • 謹啓は敬意を表す頭語であり、主にビジネスシーンで用いられる
  • 謹呈は贈り物をする際に使う丁寧な言葉
  • 敬上は日本語の敬具にあたる中国語であり、署名の後ろに書くのがマナー

謹啓・謹白は敬意を表す頭語と結語

「謹啓」を一つずつ見てみると「謹」は「つつしむ」、「啓」は「ひらく」という字義であることが分かります。つまり手紙の頭語としては「謹んでこのお手紙を差し上げます」という意味となり、主に目上の相手への敬意を示す言葉として用いられます。

謹啓に対してよく見かける「拝啓」という頭語もありますが、両者の大きな違いは敬意の度合いです。謹啓と拝啓とでは前者のほうがより丁寧であるため、改まった場合や自分より目上の方に用いるのがセオリーです。

そのため謹啓はビジネスシーンでもよく使われる傾向があります。両者の違いを理解し、状況に応じて書き分けましょう。

謹啓を使う場面と使用例

謹啓は初めてビジネス文書を送る際や、見積書などの重要な書類を送る際にも用いられます。または、以下のような自社のお知らせに使われる場合もあります。

  • 社名変更
  • 本社移転案内
  • 会社幹部の就任・退任
  • 会社設立案内

上記以外ではお礼状や詫び状に用いることもあり、ビジネス上でのやりとりにおいて相手への敬意を示したい場合は、これに加えて結語に「謹白」を使うのが一般的です。参考として、謹啓・謹白の使用例をご紹介します。

謹啓 深緑の候、貴社におかれましてはますますご清栄のこととお慶び申し上げます。   (主文など)   まずは略儀ながら 書中をもちましてご挨拶申し上げます。 謹白

謹啓と読みや漢字が似ている「謹呈」の意味は?

謹啓と字面が似ている言葉として、「謹呈」が挙げられます。「謹んで差し上げること」を意味し、目上の人に贈り物をする際に使われる表現です。

たとえば、会社の記念誌などを贈る場合は、熨斗(のし)や封筒に謹呈と書くのが一般的です。または、謹呈と記載したしおりを挟むケースもあります。

謹呈は謙譲語のため、何かを受け取った際に「謹呈していただいた」と表現するのは誤りです。「謹呈する」や「謹呈させていただく」など、自分が何かを贈る場面で使うと覚えておきましょう。

「敬上」は敬具にあたる中国語?

「一筆啓上」などの「啓上」とよく似た言葉に「敬上」があります。

しかしこれは日本語の手紙ではあまり一般的ではなく、「敬具」のような意味で用いる中国語です。中国では目上の人への手紙では宛名や本文を書いたあと、差出人の署名の後に「敬上」と書くのがマナーとされています。もしも中国語で手紙やメールを送る機会があれば、最後に敬上を入れましょう。

余談ではありますが、中国語の手紙における結語には敬上以外にも「敬启」「谨启」「谨上」などがあります。また相手への敬意を示す方法として、文章の終わりに「此致」や「敬礼」と書き添えることもあります。

謹啓・謹呈・敬上の意味を理解しておこう

もう一度まとめまると謹啓は敬意を表す頭語で、結語の謹白とセットで使うのがマナーです。主にビジネスシーンで使われることが多く、初めてビジネス文書を送る際などに適しています。

一方、謹呈は贈り物をする際に用いられる謙譲語であるため、手紙ではなく何らかのギフトを贈る際に用いるのが一般的です。

敬上は日本文での敬具にあたる中国語で、あまり使う機会はないかもしれませんがよく似た字の啓上と混同しないよう注意が必要です。

手紙のマナーに関する言葉を正しく使い分けられるように、謹啓・謹呈・敬上の意味を理解しておきましょう。

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