「補色(ほしょく)」とは色を円形に配置して対比した色相環(しきそうかん)において、向かい合う位置となる色のことです。
本記事では補色の特性や心理的な効果についてまとめました。また、具体的な組み合わせも紹介します。
この記事のポイントまとめ
- 補色とは色相環で向かい合う位置となる色のこと
- 補色同士を混ぜるとグレーになる
- 補色を並べると、それぞれの色の鮮やかさが強調される
色同士の関係性を指す「補色」とは?
補色とは色相環において向かい合う位置にある色のことです。色相環とは色を環状に配置して示した図のことで、寒色や暖色の分類も確認することができます。
【色相環のイメージ】
この色相環を見たとき、ある色にとって正反対の位置に対面しているのが補色となります。例えば黄色と青紫、赤と青緑などが挙げられ、これを「補色の関係」と呼んでいます。
補色とよく似た言葉、「反対色」とは?
補色とは別に、性質が相反する色の組み合わせもあります。
色には「色相(色み)」「明度」「彩度」の3つの属性があり、それぞれの対極にある性質のものを「反対色」と呼びます。
例えば色相に注目すれば、補色や補色に近い色の組み合わせと反対色は同一です。一方、明度を基準とした場合は白と黒が反対色の関係となります。また、彩度を中心に見るとビビッドな色と無彩色が反対色にあたります。
2種類の補色とは?
補色には「物理補色」「心理補色」の2種類があります。
それぞれの概要と、どのような効果をもたらすのかについて見ていきましょう。
1.物理補色
物理補色とは、混ぜ合わせると白・黒・グレーの無彩色になる関係の2色を指します。
絵具やインクであれば黒またはグレー、照明や液晶画面なら白またはグレーになる組み合わせのことです。
前者では「緑とマゼンタ」、後者では「赤とシアン」などが物理補色の関係にあたります。
身近なところでは、絵具のすべての色を混ぜると黒に近いグレーになる原理が例として挙げられます。
2.心理補色
心理補色とは、特定の色をしばらく見つめてから白い壁や紙などに目を移すと残像として現れる他の色のことです。
例えば赤色を長時間見ると、緑色の残像が目に浮かぶケースがあります。
血液や臓器を見つめる外科手術中の医療スタッフは緑色の残像が手術の妨げになることもあるといい、手術着や手術室の内装に薄い緑を用いるのはそうした補色残像への対策です。
補色の代表的な組み合わせ
補色の代表的な組み合わせを紹介します。
- 黄色と青紫
- 黄緑と紫
- オレンジと青
- 赤と青緑
なお、彩度を変えることで、補色のパターンを増やせます。例えば、ビビッドな黄色と青紫は補色の関係にありますが、淡い黄色と青紫もまた補色にあたります。
また、補色の関係にある色をコーディネートすることでメリハリとバランスを両立できるため、ファッションにも応用されています。
まとめ
上記のように、補色の組み合わせを並べるとそれぞれの色がより鮮やかに見える現象を「補色対比」といいます。
服の色を選ぶ場合だけではなく、補色の関係にある黄色と青紫の花を組み合わせると互いにより引き立て合って鮮やかに映えるといった効果も例として挙げられます。
さまざまなシーンでこの理論を応用できるため、制作物やデザインにも上手に取り入れましょう。